「life is but a dream. dream is, but, a life.」(真木悠介) / by Jun Nakajima

life is but a dream.
dream is, but, a life.

真木悠介『旅のノートから』(岩波書店)
扉の詞より


ぼくの人生のメンターである真木悠介先生が
「インドの舟人ゴータマ・シッダルタの
歌う歌を、イギリスの古い漕ぎ歌にのせて
勝手に訳したもの」である。

ぼくの座右の銘でもある。

東京、西アフリカのシエラレオネ、
東ティモール、そして香港と生きていく
日々の中で、この詞がぼくを支えてくれた。

英語文法的なポイントは
“but”の二つの意味合いである。

前者の文章の“but”は「ただ(only)」の意味
である。
後者の文章の“but”は「しかし」の意味である。
これを念頭に日本語訳すると、こうなる。

「人生はただの夢でしかない。
しかし、夢こそが
人生である。」

この詞にはたくさんの真実が詰まっている。
まず一つ目に、ぼくたちが「人生」だと
思っていることは、すべて「夢」である
ということである。

夢は、違う言葉では、「物語」とも言える。
いわゆる「現実」も、ぼくたちが脳で
つくりだしている「夢」でしかない。
いわゆる「人生の目的」もない。

でも、だからと言って、悲観することでは
ない。
「夢でしかないなら、意味がない」と
シニカルになることでもない。

夢こそが人生であるなら、この「夢」を
楽しんでいくことである。
素敵な「物語」をつくっていくことである。

そして、どんな夢も、どんな物語も
ぼくたちはつくり、生きていくことが
できる。
生ききることができる。