ニュージーランドの北端から、南に向かって歩く。
「90マイルビーチ」を歩きながら、ぼくは、
幾度となく、思い出すことになる。
北端から南へ歩くぼくに、本当に多くの人たちが、
激励をおくってくれたこと。
90マイルビーチを歩いているとき、
ビーチを走るツアーバスが、ぼくのところで止まった。
ツアーコンダクターと思われる女性が降りてきて
ぼくに声をかける。
ぼくがここに来る前に出会った人が、
彼女にぼくのことを伝えてくれていたのだ。
「大丈夫?」
彼女はぼくを気遣ってくれた。
そして、この辺に湧き出る水は、砂っぽいけれど
飲めることを助言してくれた。
後に、ぼくは、この湧き水に助けられることになる。
人が真剣に何かに挑戦しようとしているとき、
挑戦しているとき、
多くの人が応援してくれることを、
ぼくはしみじみと感じた。
この経験だけでも、歩くことには、意味があった。
(続く)