「歩くこと」ー ニュージーランドで歩く(4)応援 / by Jun Nakajima

1996年、ニュージーランドの北端から、
南に向かって、ぼくは歩いていく。

人が真剣に何かに挑戦しているとき、
多くの人が応援してくれる

応援は励ましの言葉であったり
時には違った形でやってくる。

ニュージーランドの北端を出発する
予定日は、10月10日としていた。
あまり意味はないけれど、日本では
体育の日。
歩くのにはよい日だと、勝手に決めた。

前日の10月9日に、北端の手前の街に
あるキャンピング・サイトで、ぼくは
一人の日本人に出会う。

こんなところで、日本人に会うとは
思ってもいない。

その日、ぼくは、彼、大介さんと
話をし、励ましをもらう。

それから、助言ももらう。

「ゆっくり行くこと」
「途中無理をせず、必要であれば
勇気ある撤退を。」

これらの助言で、気持ちの面において
余裕ができた。

翌日、10月10日、北端に向かう途中
まで、一緒に歩いてくれた。

そして、お別れは、オカリナで、
「上を向いて歩こう」をふいてくれた。
大介さんと別れ、ぼくが遠くに見えなく
なるまで、大介さんはふきつづけてくれた。

北端から、90マイルビーチに降りたち、
歩いているとき、通りかかったツアーバス。
バスが止まって、降りてきた女性は、
ぼくを気遣ってくれた

彼女は、大介さんから、ぼくのことを
聞いていたのだった。

ぼくたちは、生かされている。

励ましと、
音楽と、
気遣いと、
助言に。

ぼくたちは、生かされ、そして
生きている。