香港で、香港を「拠点」に旧友と再会する。- 変わりゆくアジア、人とのつながり、空間の自由度。 / by Jun Nakajima


香港で、15年ぶりに、旧友と再会する。

大学院で勉学に励んでいる時に、縁あって出会った留学生の方々の内のひとりだ。

アジアに住んでいて、香港に休暇でご家族と来るとのことで、日本ではなく香港での再会となった。

 

再会を楽しむと共に、感じることがある。

第一に、「変わりゆくアジア」を感じること。

アジア(アジア以外もそうだけれど、実感として一層感じることとして)は確実に変わってきている。

「成長・発展」ということを、同じときに、同じキャンパスで学んできた友人とその国の成長・発展が、変わりゆくアジアの像と重ねって、今のぼくには見える。

また、「香港」という、人が行き交う交差点にいることも手伝ってか、アジアの人たちの行き来がますます増え、物理的にも心理的にも「近く」なってきていることを感じる。

友人に最後に会ったのが15年ほど前であったけれど、その15年は、とても大きかったのだと思う。

 

第二に、「人のつながり」が、より自由につくってゆくことができること。

このグローバルな世界が、インターネットを通じて、一瞬でつながってしまうことは、「ドラマ」的な側面をなくしてしまうこともあるけれど、もっと自由な関係性をつくり、維持し、発展させてゆくことの土台であることである。

インターネットでつながることが、今回のような再会を可能なものとしてくれたことは確かで、この15年の変化は、人と人との関係性を、幾層にも重層化してきたことを、やはり感じる。

そのことはあたりまえのこととして感じられることかもしれないけれど、感じている以上に、ぼくたちの生きることの諸相を変えてゆくものであることを、あらためて認識した。

 

それから第三に、再会は、いずれかの母国ではなく、「どこでも」起こるということ。

海外の友人たちから「これから日本に行くんだけど」とか「今日本にいるんだけど」とメッセージが入るたびに、「香港にいる」ことを伝える。

うまく機会があわないわけだけれど、逆に、いずれかの母国ではなく、「香港を拠点」に、小さな同窓会をひらくことができる。

香港に遊びにくる人たちもいれば、逆に、香港を拠点に、こちらから訪れることもできる。

現実の「空間」も、自由度を増している。

 

昨日の満月の夜の後は、少し雲が増えて、雲がちょうど月のあたりを覆う。

月が雲に覆われながら、香港のビクトリア湾とビル群は、「Symphony of Lights」と名づけられる、毎晩20時からのイルミネーションの光たちに彩られる。

ビクトリア湾をのぞむ、九龍島の南端にあるプロムナードは、イルミネーションをみる人たちでいっぱいだ。

しばらく見ていなかったけれど、久しぶりに見ると、新鮮に眼に映る。

観光で来る人たちの「眼」を通して、生活している香港は、いつもとは違った様相を見せる。

 

近い内に、今度は、ぼくが友人を訪れる番だ。

そこに「遠さ」は感じない。

ただ、「行くことを決める」だけで、物語がはじまる世界に、ぼくたちはいる。