「気づき」に向けて。- 「かたづけることは、勉強することと同じで、生き方を変えることだ」(中谷彰宏) / by Jun Nakajima

作家の中谷彰宏が、かたづけ士の小松易による講義から「かたづけができないタイプ分け」の部分を抽出して、書いている。
 

<かたづけができないタイプ分け。
前くじけ=先送り。
中くじけ=気が散る。
後くじけ=リバウンド。
もうひとつは、
前前くじけ=気づかない。>
なんと、勉強と同じですね。

中谷彰宏「中谷彰宏レター」(2017年12月23日)

 

タイプ分けの明確さとともに、「前前くじけ=気づかない」という視点に、「かたづけ士」としての思考と経験の鋭さが現れている。

「もうひとつは…」と、「前・中・後」とは別に「前前」として触れる仕方にも、「気づき」ということの本質が出ている。

「気づき」がないと、「かたづけができない」ということの出発点に立つこともできない。

中谷彰宏が書くように、勉強、さらには生き方ということをも貫く本質が、「かたづけること」に現出している。

 

かたづけ士の小松易は、著書『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(中経の文庫)の「はじめに」で、人から「なぜ、ひらがなで『かたづけ士』なのですか?」と聞かれてきたことについて、書いている。

当初は「はっきりとした答え」を持っていなかった小松は、片づけコンサルティングの仕事を始めてから5年ほどたってから、「明確な答え」を持つようになったという。

明確な答えは、「片づけ」が「3段階で進化していくもの」であるというものだ。


●第一段階「片づけ」:「リセットの片づけ」、「整理(減らす)」と「整頓(配置する)」

●第二段階「型づけ」:「習慣化の片づけ」、片づけられた場所をきれいに維持する習慣をつくるためのルールやしくみ

●第三段階「方づけ」:方=あなたのライフスタイル・生き方、「自分の人生をどのようにデザインし、どのように生きたいかを決めていくこと」

※参照:小林易『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(中経の文庫)より

 

「片づけ」が、「方づけ」(ライフスタイル・生き方を変える)につきぬけてゆく力をもっていることは、ぼくも経験において深く認識しているところだ。

その出発点が「先送り」よりも「前前くじけ=気づかない」にあるというところに、いっそう深い本質があるということ。

「気づいてゆく」ということが、生きてゆく道ゆきで、どれほど大切なのかということ。

ほんとうの「気づき」であれば、それはかならず、「方づけ」の方向につきぬけてゆくこと。

中谷彰宏の「レター」に書かれた講義メモを見ながら、そんなことをぼくは感じ、考えていた。

そして、年末にさしかかり、ふと部屋を見渡しながら、「かたづけ」はぼくにとって毎日のことであることを言いきかせながら、「気づき」に向けて勉強している。