ジョン・レノンの名曲「Imagine(イマジン)」の描いた世界。- この名曲に一歩ふみこんで、かんがえてみる。 / by Jun Nakajima


誰もが知る、John Lennon(ジョン・レノン)の名曲「Imagine (イマジン)」。

名曲「イマジン」は、多くのミュージシャンたちをひきつけてきた。

子供のときにイラクの戦場で見つけられたEmmauel Kellyが、だいぶ前にオーストラリアの番組Xファクターで「イマジン」を歌う姿と歌声は、人びとの心をうった。

Emmanuel Kellyは、Coldplayのオーストラリアでのコンサートで、一緒に「イマジン」を披露している。

生きる力の充溢をそこに見ることができる。

ジョン・レノンだけでなく、さまざまなアーティストにひきつがれてゆく名曲の<つなげる力>に、ぼくは心を動かされる。

 

名曲「イマジン」は、「世界がひとつになって生きる」ことを歌っているけれど、どのような世界を望んでるのか。

何度も聞いてきたこの名曲を、ぼくは一歩ふみこんでかんがえたことがなかった。

歌詞だけにおさまらない力が、この歌にはひめられていることもあるけれど、「わかった」気持ちでいたことも、理由のひとつかもしれない。

「♫ Imagine(想像してごらん)」と、ジョン・レノンが歌うとき、「~のない世界」をとジョン・レノンはメッセージをのせている。

大きく分けると、そこには3つの大きな<消去>がおかれている。

  1. 天国と地獄
  2. 国と宗教
  3. 所有

これらを見ると、わかったような気がするけれど、ジョン・レノンがこれらに「対置」するものを置くと、もう少し見えてくるものがある。

(1)  天国と地獄 ⇄ 「今を生きること」

(2)  国と宗教 ⇄ 「平和に生きること」

(3)  所有 ⇄ 「分かち合うこと」

ここまではジョン・レノンが、歌詞にのせたメッセージである。

さらに、ここから、もう一歩ふみこんで、「抽象度」をあげて理論として取り出してみると、これらの3つは、次のように読みとることができる。

(1’) 時間

(2’) 共同体

(3’) お金

こうしてみることで、ジョン・レノンが名曲にのせて歌うメッセージは、とても「論理的」であることがわかる。

これら3つは、「生きること」の3つの側面であり、「生きること」を支える3つのもの・ことである。

二つ目の「共同体」は、人の<精神的な側面>を支えるものであり、三つ目の「お金」は、人の<物質的な側面>を支えるものである。

人びとの生を支えるものでありながら、それらが逆に、「抑圧」として人びとの生に影響をあたえている状況に、想像の世界でジョン・レノンは現実を<消去>したのだ。

一つ目の「時間」はと言うと、ひとつの解釈としては、人が個人として生きる「意味」がそこにこめられているように、思う。

「天国と地獄」という「結末」に向けられた視線は、人の生をそこに向けて収斂させながら、<今ここの生>をおきざりにしてしまう。

だから、ジョン・レノンは「今日を生きること」へと、人びとの想像の力を解き放とうとしている。

このように、名曲「イマジン」は、時間・共同体・お金という、人が生きてゆくことの、意味と精神的・物質的側面の色彩を変えることで、「ひとつになる世界」を描いている。

その想像の「道すじ」において、ジョン・レノンは、天国と地獄、国と宗教、所有を<消去>するという仕方を選んだことは、積極的な方法というよりも、そう取らざるを得なかったのかもしれないと、ぼくはかんがえている。