「香港」は、語りにくい - 香港を知るための2冊 / by Jun Nakajima

香港に住んで10年になる。
香港とともに成長してきた。
日々「香港」である。
日々「フィールドワーク」である。
でも「香港」は語りにくい。

その「香港」を知るために、
この2冊は読んでおきたい。

・倉田徹・張彧暋『香港』(岩波新書, 2015年)
・吉川雅之・倉田徹『香港を知るための60章』(明石書店、2016年)

人により、香港を知る「目的」は
さまざまである。

それは、香港で住むため、
香港を研究するため、
香港や香港文化に興味があるため、
であるかもしれない。

いずれにしろ、この2冊は読んで
おきたい。

ぼくは、これら2冊には、
香港で10年ほど生活してから
出会った。

『香港』(岩波新書)の冒頭は、
ぼくの「感覚」を共有する出だしである。

 

「香港は一冊の難解な書だ…。」
この言葉は、…中国政府の香港出先機関
である中央政府駐香港連絡弁公室(中連
弁)の初代主任を務めた姜恩柱が残した
名言である。…
…この台詞は、香港研究を生業とし、
「香港とは何か」を捕捉することを
職業とする筆者(倉田)の頭の中にも、
毎日のように去来する。

倉田徹・張彧暋『香港』(岩波新書)
 

大学で中国語を学んでいた
ときに香港に授業で触れ、
大学在学中に、香港に初めて足を
踏み入れ、
そしてこの10年住んでみて、
それでも、ぼくも感じる。
香港は語りにくい。

そして、その語りにくい香港は、
常に変わっている。
スピードも圧倒的に速い。

いつまで香港にいるかはわからない。
でも、しばらくは、この変動の香港を、
ぼくは見続けていく。

そして、香港を知るためのもう一冊を、
近日中に、世に放ちたい。