香港で、早朝のエクササイズをしていて、「自転車シェアリング」用の自転車を目にする。
香港の英字紙「South China Morning Post」(SCMP)に掲載されたニュースの見出しで、「自転車シェアリング」アプリがスタートしたことは知っていたけれど、実際に自転車を目にするのは初めてのことであった。
緑色で、遠くからでも目につく。
なぜこんな場所に自転車が駐められているのだろうと思ってみたら、「自転車シェアリング」の自転車であった。
その名は「GoBee Bike」。
Beeのごとく、蜂が自転車をこいでいるロゴマークとURLが見える。
前出のSCMPのニュース(2017年4月24日の記事)は、2017年4月にスタートしたばかりの「GoBee Bike」は、トラブルの多い・がたつく(bumpy)スタートをきったことを伝えていた。
ひとつはシェアリング用の自転車7台が壊れて見つかったこと、それからアプリのセキュリティ上の問題であった。
そんなスタートをきりながらも、ぼくの住んでいるところの近くでも目にするようになってきた。
「GoBee Bike」は、香港に拠点を置く。
会社の「ビジョン」は二つある。
- 「Last mile transportation (最後の距離の交通機関)」の必要性を解決すること
- 都市生活者のために、健康的なライフスタイルと緑の環境を促進すること
サービスを使うには、アプリをダウンロードして、デポジット(HK$399、日本円で約5,800円)を支払う。
いつでも、どこにでも駐めることのできる自転車は、アプリ上で見つけることができる。
自転車は、ソーラーパワーによるGPS smart lockが搭載されているとのことだ。
自転車はQRコードを使って開錠できるようになっている。
使用料金は、今のところ、30分につきHK$5(日本円で約70円)だ。
世界各地で「自転車シェアリング」サービスはスタートしているけれど、それが香港でみられるのは、よいことだと思う。
SCMPのニュースが取り上げるように問題は多いはずだ。
最初の時点で、回避しなければならない問題もある。
でも、何よりも、ビジョンをかかげ、そこに向かって、確実に行動を起こしていく。
目に見える形で香港の日常にはいりこみ、物理的にであれ心理的にであれ、「変化」を感じさせていく。
都市化が進み、健康や環境が顕在化してきている中で、「変化」を社会に投じる。
問題・課題を議論する前に、なにはともあれ、それは素晴らしいことだと、ぼくは思う。
問題・課題は、走りながら、あるいは蜂のように飛びながら、修正を加えていけばよい。
ときには、やりなおしたっていい。
ぼくたちは、今、「無限の試みの時代」にいる。
未来を構想・イメージし、そこに何度も問いや試みをなげかけて、やりとりしながら、道をひらいていくのだ。
それにしても、利用者はなんであんな場所に自転車を駐めたのだろう、駐めるような場所ではないのに。
「last mile transportation」のニーズが、そこにはあるのだろうか。
緑色の自転車が並ぶのを見ながら、ぼくはそんなことを思う。