「香港」という場所は、「港」であり、交通の要衝・ハブでもあるから、香港では世界のいろいろなものが手に入る。
「メイド・イン・ジャパン」のものにはどこにいっても遭遇し、また「日本(からの)直送」の食材やお菓子やケーキが売られているのを日常で見る。
日本のレストランなどの食材も、例えば、「日本直送」を宣伝していたりする。
さらに、日本の不動産だって、香港の不動産屋の店頭にチラシが出ていて、ぼくの出身地の「静岡県」の物件が出ているのを見たときは、さすがにびっくりしてしまった。
別に「日本」にかぎらず、世界各国のものが香港で手に入る。
<なんでもある香港>のすごいところだ。
そのような<なんでもある香港>の豊かさと便利さを享受しながら、他方で、「香港」のもの、「香港製造/Made in Hong Kong」のものを楽しむ。
食材や食べ物など、ここでしか食べられないものを楽しむ。
他で食べられるかもしれないけれど、新鮮さが失われたりしてしまったり、その環境だからこそのおいしさが損なわれてしまうこともある。
その土地のものを、その土地で楽しむ。
おいしい食べ物も、おいしいお酒も、旅をしない、というようなことが言われるように、その土地のものはその土地で味わうことで、味が生きてくる。
「ローカル」なものを応援したい、ということもある。
けれども、「応援したい」だけでは、楽しみが長続きしにくく、どこか「応援しなければならない」といった、じぶんをしめつける気持ちで抑制されてしまうこともある。
だから、ほんとうによいものを選ぶことで、それを楽しむ側も、それを提供する側も、ともに、「物語」を紡いでゆくことができる。
そうして、ぼくは、このブログの写真にたどりつく。
これは豆腐ではなく、「豆腐花」とここ香港では呼ばれるデザートである。
豆乳を固めてつくられた、豆腐よりも柔らかいデザート(※香港の外ではいろいろな仕方で食されている事情はひとまず横に置いて)。
香港のデザート店では、暖かいものと冷たいものとお好みで選び、たとえばシロップなどをかけて食べる。
その新鮮な風味を楽しむことができる。
最近は、ぼくは、豆腐花がパッケージされたものをスーパーマーケットで購入して、冷蔵庫に入れておいて、ときおり食べる。
スーパーマーケットは、世界各国からのデザートでいっぱいで、たくさんの選択肢があるけれども、ときに豆腐花も、買い物カゴに入れる。
「応援したい」だけでなく、シンプルに、その素朴なおいしさがあるからでもある。
その土地のものを、その土地で楽しむ。