本屋と香港 / by Jun Nakajima

2016年も、その終わりに近づいていた頃、(当時勤務していた)事務所近くに位置している大型書店が閉鎖された。

それは突然の出来事としてやってきた。

お昼のランチを買いに、ショッピングモールの人混みをかきわけながら、ぼくはその書店の入り口が閉じられていることに気づく。

張り紙をみると「一時的」な閉鎖であるように見受けられる。
でも、その後、一向に店舗が開く様子がないところ、ニュースで、その書店が「完全に」閉鎖されたことを知る。

「本」が読まれなくなってきているなか、あるいは電子書籍が普及していくなか、書店の閉鎖は予期せぬものではないけれど、それはやはりショッキングであった。

ぼくは、人生や仕事で悩んでいるとき、本屋にいく。東ティモールの騒乱から日本へ一時避難していたときもそうだし、ここ香港でも同じである。

人は、インターネット上に広がる「情報」を得る。検索エンジンでキーワードをタイプし、「答え」を求める。ぼくも時にはそうする。得たものも多いけれど、ぼくたちは、そこに、「何か」を失ってしまったように感じる。