2006年、東ティモールでの騒乱から逃れ、インドネシアのジャカルタを経由して東京に戻る。
銃弾が飛ぶ音がぼくの意識に残る。
小さな、はじけるような音がすると、身体がびくっと反応する。
車両から降りて、建物の敷地に入った途端に、後ろで銃撃戦が繰り広げられる。
何時間にも渡って、断続的に、銃撃音が鳴り響く。
銃弾だけでなく、石が投げつけられる怖さから、ひらけた空間が居心地が悪い。
一度、ぼくたちの車両が、走行中に大きな石を投げつけられたことがある。
幸いにも、車窓ではなく、車体にあたった。
戦争は、ぼくを、どこか、荒涼とした心情空間に投げ込む。
東京に戻ったぼくは、気がつくと、渋谷の本屋さんに立ち寄っている。
本屋さんに広がる、様々な想像や物語が、ぼくの荒涼とした心情空間に色彩を与え、そっと癒してくれる。
東京に戻り、そんな日々が続く。
本屋さんで見つける、何でもないタイトルに、心が温まる。