1996年、ぼくは、大学2年を終えたところで1年間休学し、
「ワーキングホリデー」に出ることにした。
当時、日本がワーキングホリデー制度を締結していた国は、
オーストラリア、カナダ、ニュージーランドであった。
ワーキングホリデー制度の「王道」であったオーストラリアに
行きたかったのだけれども、人数制限のため、申請ができなかった。
第二候補のカナダも、申請時期か何かの問題で申請ができない。
残るは、ニュージーランドということで、アルバイトで貯めた
50万円程を手に、ニュージーランドに行くことになった。
ニュージーランド滞在中、ひとつの「目標」を定める。
・ニュージーランドを「徒歩で縦断」すること
当時、ワーキングホリデー中に、自転車などを利用して
国を一周したり縦断したりということが、「やること」の
ひとつとして一部に定着していた。
ぼくは、そこで、自転車ではなく「徒歩」に決める。
大学1年から2年にかけて東京でやっていたアルバイトで、
ウェイターとしては毎日とことん歩いていたからである。
到着して半年ほどは、オークランドの日本食レストランで
働きながら、生活を楽しむと共に、「準備」を進める。
アウトドアショップに行き、靴・上着・テント・簡易ガスなど
を購入する。地図も手に入れる。
そして、一軒家に同居していたフラットメートたちに見送られて
ぼくは、「徒歩縦断」の旅に出る。
ルートはニュージーランドの北端から南端を目指すことにした。
北端の方が、住んでいたオークランド(北島に所在)から
近いこと、また南島はまだ冬が明ける時期で寒いことが
理由であった。
当時も、今も、なぜこんなことしたのかはよくわからない。
でも、ぼくは、とにかく、歩くことにしたのだ。
(続く)