2017年9月にカリブ海に被害をもたらしたハリケーン「イルマ」は、ヴァージングループの創業者であり会長でもあるリチャード・ブランソン(Richard Branson)がカリブ海に所有するネッカー島(Necker Island)にも壊滅的な被害をもたらした。
リチャード・ブランソンは、吹き飛んだ建物などの被害状況を、ネットで発信した。
当時ネッカー島にいたリチャード・ブランソンは、スタッフの人たちと共に、ワインセラーである地下室に避難して難を逃れた。
その当時の様子を、リチャード・ブランソンは、ポッドキャストの「The Tim Ferriss Show」において、ティム・フェリス(Tim Ferriss)のインタビューに丁寧に応えながら、語っている。
インタビューは、のちに「The Billionaire Maverick of the Virgin Empire」と題され、ハリケーンだけでなく、彼の新しい自伝『Finding My Virginity』を元に、ヴァージン航空などのビジネス、彼の生い立ち、彼の習慣、社会へのコミットメントなど、さまざまに語られていて、興味がつきない。
ただし、インタビューはハリケーンがネッカー島に被害をもたらした後日に行われたことから、ハリケーンの話から始められた。
リチャード・ブランソンがネッカー島とその状況を一通り説明した後に、ティム・フェリスは次のような主旨の質問をなげかける。
死をもたらすかもしれないような状況において、そのような状況をとても心配し、中にはパニックにおちいるようなスタッフたちに向かって、あなたは何を言ったり行動したりしたのか?、と。
リチャード・ブランソンは冒険家でもあり、これまでにも幾度も、いろいろな危険な状況にあってきたことにも触れて、リチャード・ブランソンという一人の巨人の本質にふれる問いを、ティム・フェリスはなげかけたのだ。
リチャード・ブランソンは、今回のハリケーンのときに地下室でスタッフの人たちと避難していたときのことに触れ、間髪いれず、次のように応える。
「ぼくはユーモアが大切だと思う。…冗談を言ったりね。」
Tim Ferriss「The Billionaire Maverick of the Virgin Empire」, Podcast『The Tim Ferriss Show』
ユーモアのことを語りながら、リチャード・ブランソンはもう一つ付け加えている。
「それから、たくさんのハッグ。ハッグもある意味大切です。」
Tim Ferriss「The Billionaire Maverick of the Virgin Empire」, Podcast『The Tim Ferriss Show』
それから、リチャード・ブランソンは、他の冒険におけるときの経験を語りながら、「ポジティブでありつづけること」の大切さを語るのだけれど、ぼくの中には、「ユーモアとハッグ」が印象深く残ることになる。
そこに「リチャード・ブランソン」を見たような気がしたこと、また、極限的な危機状況において、やはりそれらはとても大切であること。
ハリケーンは地下室の外のドアを10メートルも飛ばしたという状況の中、地下室でジョークを語るリチャード・ブランソンの様子が見えてくるようだ。
「ユーモアとハッグ」。
ここにはそれぞれに重要な「効果」が詰められている。
- ユーモア:言葉(とマインド)を通じて、身体をゆるめること
- ハッグ :身体をゆるめることで、マインド(と言葉)を変えること
それぞれに、言葉・マインドと身体の緊張を「ゆるめる作用」をもっている。
リチャード・ブランソンは、明確に意識することなく、この「双方」をじぶんの方法としている。
間髪いれずに応えたブランソンのトーンから、そのことが伝わってくる。
インタビューの終わりに、「経験から学ぶこと」の重要性をリスナーに語るリチャード・ブランソンの言葉を聞きながら、経験のひとつひとつからの学びを(字義通り)「体得」していったところに、彼の強さとレジリエンシーはある。