年長のスポーツ選手たちとその風景に未来を視る。- BBC記事「In pictures: Photographer 'in awe' of older athletes」より。 / by Jun Nakajima


英国BBCの記事に「In pictures: Photographer 'in awe' of older athletes」(※リンクはこちら)という記事が載った。

「In pictures」と題されるように、写真が並べられている。

Alex Rotas氏(68歳)が、写真を60歳で始め、60代を通じて撮ってきた「年長のスポーツ選手たち」の写真の一部だ。

今回は、ロンドンで行われた、年長者たちの競技会の写真が掲載されている。

 

写真からはAlex Rotas氏の写真にかける情熱が伝わってくる。

60歳で写真を始めた彼女は、「年長のスポーツ選手たち」の写真がないことに気づく。

インターネットの検索で「old」をかけてでてくるのは、椅子にしずみこむように座る老人たちであったという。

それから撮り始めた「年長のスポーツ選手たち」の写真からは、<深いもの>が伝わってくる。

60代から90代という年長のスポーツ選手たちは、彼女が語るように、年長者の身体たちが達成できることはにわかに信じがたいほどだ。

大会では、5歳ごとに分けられているようだ。

例えば、70歳から74歳。

記事の最初にかかげられるAngela Copson氏は、70歳から74歳の部で、1万メートル(10キロ)走で、世界新記録の「44分25秒」をうちたてている。

その他の写真では、走り幅跳び、ホーガン投げ、ハードル走などの写真が掲載され、やはり<深いもの>が伝わってくる。

その<深いもの>を、Alex Rotas氏は、涙と畏怖の念が半々だと語る。

 

ぼくも、これらの写真と文章をみながら、深い感動と畏怖の念を抱く。

「年長のスポーツ選手たち」の顔や身体から伝わってくる真剣さ、歓びなどが、写真の画面からあふれでている。

他方で、ぼくは「不思議な感覚」のなかになげこまれる。

その感覚を丁寧にほりおこしていくと、ぼくは「未来の世界」になげこまれていることを感じている。

今でこそ、これらの写真が「稀なもの」として掲載されているけれど、ぼくは未来ではこれが日常になるのではないかと、そしてその「日常」の風景を見ているように感じたのだ。

「人生100年時代」、あるいはそれを少し超える人生110年・120年の風景だ。

 

「世界」は二つの方向性において、ひろがりをつくっている。

ひとつは「グローバルという方向性」であり、もうひとつは「人生100年時代という方向性」である。

つまり、空間のひろがりであり、時間のひろがりである。

ぼくたちの生は、この「時空間のひろがり」のなかで、新たな生き方をひらき、そして新しい見方と考え方と方法を要請している。

 

Alex Rotas氏は、最後に、こんな風に語っている。

 

Everyone has a story and everyone’s story is different.…
(誰もが物語をもっていて、それらは異なっている。)

I love being a beginner.
(私はビギナーであることが大好きなんです。)

BBC「In pictures: Photographer 'in awe' of older athletes」(*左記リンク)

 

70歳に近い彼女は「新しいことを始める」ことに歓びを見出している。

生きることの「時空間のひろがり」のなかで、そこに、ぼくは「未来」の風景を視ている。