5月の香港はこんなに暑かっただろうかと思うほどに、ここのところ香港は暑い。日中は33度ほどまで気温が上がり、夜も28度ほどである。湿気もあって、すでに「夏」を過ごしているかのようである。
今日はそんな暑さに自然が反応してか、雨がときおり降りそそいで、夜は暑さがやわらいでいる。
香港では、「暑さ」も、冬の「寒さ」も、突然にやってくることがある。ようやく冬が過ぎたかなと思っていると急に暑くなったり、あるいはまだ暑いなぁと思っていると急に寒くなったりするのである。
香港に来て12年にもなるので、そんな「急な季節の変わり目」に向けて気持ちの準備はしているのだけれど、それでも身体はやはり少しびっくりしてしまうようだ。今回もこの「暑さ」で、夜中に目が醒めてしまった。
エアコンはここ5年以上も家では使っていないから、扇風機をつけたりしてなんとかやりくりしてきた。それでも暑かったりするのだけれど、そんなこんなで過ごしていると、心身ともに、暑さに慣れてきたようだ。
季節の変わり目はこんなふうに急な「移行」をもたらしたりすることがある。そんなとき、過剰に反応して、暑さ対策や寒さ対策をとったりしてしまうことがある。けれども、いつも思うのだけど、その「ある程度の期間」を越えると、心身の調整が効いてきてふつうになるときが、やがてやってくる。過剰反応する必要はなかったりするのだ。
これは「季節の変わり目」だけに言えることではない。
ぼくたちの「人生の変わり目」、住む場所が変わったり、学びや仕事が変わったりするときも、いろいろなことが変わることから、人は心身ともに過剰反応してしまうことがある。いろいろなもの・ごとの「トランジション(移行期)」にである。
生きることの経験を重ねてきたなかでぼくが思うのは、季節の変わり目と同じように、「ある程度の期間」を越えると、やがてふつうになるときがやってくるものだ。ここでいう「ふつう」とは、日常化して、慣れることである。
もちろん、そうなったからといって、個人それぞれに特有の問題・課題が解決するというわけではない。でも、はじまりには「すごく大変だ」と思っていたことが、やがてそこまでは思わなくなるものだ。
だから、ぼくたちが「トランジション(移行期)」を迎えるとき、「ある程度の期間」をはじめから見据えて、時間を味方につけること。ぼくたち自身の「心身の調整機能」を信じること。そうして、心身を落ち着かせること。
香港の暑い日々を迎えながら、そんなことを、ぼくは思う。