音楽を奏でる家「Goose house」という<場のコミューン>。- 「オンガク」へと解凍される音楽。 / by Jun Nakajima


「Goose house」という、日本の音楽グループがある。

ソニー・ウォークマンのPR企画「PlayYou.House」の後身として、番組終了後も番組制作を続け、YouTubeなどに演奏をアップしている(参照:Wikipedia)。

シンガーソングライターが集まり、カバー曲やオリジナル曲を演奏している。

2011年の活動から徐々にファンを増やし、CDを発表し、今では大きなライブ公演もこなす。

YouTubeに演奏がアップされると、またたく間に多くの視聴者を得ているようだ。

 

ぼくたちの「思考の癖」からは「グループ」というように見てしまうのだけれど、名前そのものが示すように「house 家」という<場>である。

Goose houseのホームページに書かれているプロフィールには、そのことがシンプルに書かれている。

 

シンガーソングライターが集い
オンガクを奏でる家、Goose house。
ひとつひとつは、
まだちっぽけな音だけれど、
重なり合い、紡ぎ合い、
やがてひとつの暖かい音になり、
この都会の片隅の小さな部屋から、
世界中の街へ拡がりつつある。

「WHAT’S Goose house」Goose houseホームページより

 

それは、ひとつの<場>である。

実際に、Goose houseはシェアハウスに集まっては、曲を収録する。

収録した曲は、YouTubeなどに「発表」される。

曲によっては、何万回・何十万回も再生され、視聴する人たちに「何か」を届けている。

 

Goose houseは、音学を「オンガク」とカタカタで表記している。

ぼくたちが知る「音学」を一度解凍することで、「オンガク」という<オト(音)のたのしさ(楽)>にまで戻りつつ、変わりゆく世界のなかで<オンガクの力>を追い求めているように、ぼくには見える。

Goose houseは、ホームページにおける、上述の文章につづいて、次のように書いている。

 

10年前には考えられなかった。
それが「今」という時代。
オンガクを取り巻く環境は、
明るい話ばかりじゃないけど、
オンガクの力は、
変わらなくヒトを包んでくれる。

オンガクの「今」を、全身で楽しみたい。
オンガクの「これから」を、
この目で確かめたい。

「WHAT’S Goose house」Goose houseホームページより

 

ぼくの個人的な好みでは、多くのメンバーで楽曲を奏でる曲に、心ひかれる。

そのアレンジの面白さと「オンガク」を奏でることの<たのしさ>の表出から、ぼくは、例えば次の曲の演奏が好きだ。

坂本九「明日があるさ」
猿岩石「白い雲のように」
スガシカオ「Progeress」
19「あの紙ヒコーキ くもり空わって」
Goose house「オトノナルホウへ」

Goose houseの奏でる「オンガク」から湧き出る<たのしさ>は、ぼくが10代に「オンガク」にうちこんでいたときのことを思い出させてくれる。

友人たちと集まっては、だれかれとなく楽器を奏で始める。

そこに響きをあわせるように、ひとりが加わり、またひとりが加わり、そうして「セッション」が始まる。

そこで、ぼくたちは、「オンガク」を通じて、生きることのリズムと<つながり>を感じることができる。

ぼくにとっては、「オンガク」が、この世界につながることの<蜘蛛の糸>のようなものであった。

それは独り占めする「蜘蛛の糸」ではなく、みんなと共にのぼってゆく<蜘蛛の糸>であった。