東ティモールのエルメラ県レテフォホ。
コーヒーの産地である。
Peace Coffee Clubによる、レテフォホの素敵な映像に触発されて、ここ香港でぼくは書く。
まずは、映像「Letefoho Coffee from Timor-Leste / レテフォホ星降る山のコーヒー・東ティモール」(2分1秒)をご覧いただきたい。
リラックスした環境で、例えば、コーヒーでも飲みながら。
映像(YouTube)
「Letefoho Coffee from Timor-Leste / レテフォホ星降る山のコーヒー・東ティモール」(PeaceCoffeeClub)
(※上記タイトルをクリックしてYouTubeへ)
レテフォホには、2007年まで、ぼくはよく滞在していた。
「よく」というのは、首都ディリとレテフォホの2拠点に事務所を構えていたから、よく行き来していた。
映像の舞台であるレテフォホにいたときから、もうすでに10年ほどが経過したという感覚と、いや、10年ほど前にぼくはレテフォホにいたんだという感覚が、ぼくのなかで交差する。
この10年のうちに世界は変わり、そのうちのひとつであるドローンの技術が、この映像でレテフォホを空からの視点できりとっていく。
山の稜線にそって、町の中心部がひろがっている。
コーヒーの木をまもるようにして、傘のようなシェードツリーたちが森をつくっている。
なじみの顔たちが、ぼくに、元気な姿をとどけてくれる。
そんな自然と人を、頂から、「クリスト・レイ」(キリスト像)が見届けている。
コーヒーは、芸術作品のような、このレテフォホから生まれる。
そして、今は、そのブランドを確かなものとしている。
かつて、ぼくは、東ティモールの「コーヒー産業(プロジェクト)」について書くなかで、こんな風に書いた。
…コーヒーの木を守るシェードツリーを一望することができるレテフォホの丘で、やさしく流れる気流に身体をさらし、満面の笑顔を投げかけてくる東ティモールの人びとに囲まれていると、こんな環境で生育するコーヒーが美味しくないわけがない、という想念が頭をかすめる。…
中島純「コーヒー立国」『東ティモールを知るための50章』山田満編著(明石書店)
ぼくは、映像を見ながら、やはり、思わずにはいられない。
「レテフォホ」という土地の、自然と人たちがつくりだすコーヒーは、美味しくないわけがない。
この映像は、「レテフォホ星降る山のコーヒー・東ティモール」と名づけられている。
夜が明ける前の、朝4時頃。
ぼくは、トイレにいくために、よく起きた。
実を言うと、起きたいために、トイレにいきたくなるといった方が正しいような気がしていた。
トイレにいくためには、いったん外に出なければいけない。
レテフォホは山間地だから、外はきりっとした空気がとおっている。
いったん外に出るところで、ぼくは、息をのむ。
目の前に、空いっぱいの星たちがたたずんでいる。
流れ星が、いくども、空をかけてゆく。
星座などまったくわからないほどに、空いっぱいの星たち。
ぼくは、息をのみ、星たちの世界にすいこまれるような錯覚を覚える。
ぼくの楽しみのひとつだった。
また、日々起きる、さまざまな困難を、「大丈夫、解決できる」と感じさせる<宇宙からのまなざし>でもあった。
「星降る山」とは、そこに生きるものたちにとっては、実質のある、ほんとうの言葉である。
映像を見ながら、そのようないろいろな思いと感情と思い出がおしよせてきて、レテフォホに行きたくなった。
そうして、ぼくは、もう一度、映像を見る。
映像(YouTube)
「Letefoho Coffee from Timor-Leste / レテフォホ星降る山のコーヒー・東ティモール」(PeaceCoffeeClub)
(※上記タイトルをクリックしてYouTubeへ)