カントリー・ミュージシャンのWillie Nelson(ウィリー・ネルソン)のことを、なにかの本を読んでいて目にしたかで、ぼくはApple Musicで探して、聴きはじめばかりのところ、1933年生まれの現役の「レジェンド」が、85歳にして9つ目の「グラミー賞」受賞とのニュースを見る。
フランク・シナトラの名曲「My Way」などを曲目に連ねるアルバム『My Way』(ウィリー・ネルソンがシナトラをとりあげた背景なども興味深いところだ)で、第61回グラミー賞の「Best Traditional Pop Album」を受賞したのだ。
受賞自体については、ウィリー・ネルソンは特段、大きな意味をおいていないだろうと推測しながらも、音楽を奏でつづける「レジェンド」にぼくはひかれる。
ウィリー・ネルソンの「My Way」も深みがあるけれど、この受賞で思い起こしたのは、いまでもよく聴いている、ウィリー・ネルソンの名曲「On the Road Again」(1979年録音、1980年リリース)であった。
ツアーの人生を歌った「On the Road Again」。最初はつぎの一節である。
On the road again
Just can’t wait to get on the road again
The life I love is making music with my friends
And I can’t wait to get on the road again
…Willie Nelson “On the Road Again” 『Legend - The Best of Willie Nelson』 ※Apple Musicより
ウィリー・ネルソンを知らなくても、どこかで、たとえば映画のなかなどで聞いたことのあるであろう曲である。それほど、親しまれている曲である(なお、この曲で、グラミー賞「Best Country Song」を受賞している)。
アップテンポな曲調が、「on the road again」というイメージとともに、ぼくたちのこころを軽快にうごかす。
なんどもくりかえされる「on the road again」ということばが、「again 再び」ということが語るように、ぼくたちを、いつも「道のうえに on the road」にもどすかのようである。
でも、ほんとうは、ぼくたちは、いつだって、「on the road」でもあるのだ。この「道」の先に、大きな夢をみようと、なんらかの目標をみようと、ただ地平線をみはるかそうとも、いつだって、ぼくたちは「この道」にいるのである。
この「道のうえ」が生きることであり、人生である。
このことばを軽快なアップテンポにのせて、40年ほどまえに歌いはじめたウィリー・ネルソンは、85歳のいまも、「on the road」である。
「The life I love is making music with my friends…」、大好きな人生は友人たちと音楽をつくることだと歌ったウィリー・ネルソンは、いまも、人生というツアーの「on the road」で、友人たちと音楽を奏でている。
そんなウィリー・ネルソンに、ぼくはひかれる。
さぁやるぞ、と腰をあげながら、ぼくは、名曲「On the Road Again」を選んで、再生する。
on the road again。<この道>にいるということを、ぼくは思う。
それがどんな道であろうと、ひとは、それぞれに<この道>のうえにいる。
この道を、「心のある道」(@ドン・ファン)として、歩きつくすこと、楽しみつくすこと、生きつくすこと。